共につくる『学び合い』

新潟の高校で世界史の『学び合い』に挑戦中!教員6年目。

新井紀子氏の講演会

 今日は、新井紀子氏の講演会に参加してきました。新井先生といえば、この本です。

 

AI vs. 教科書が読めない子どもたち

AI vs. 教科書が読めない子どもたち

 

 

 講演の前半は、「AI(東ロボ)がどのようにしてセンター試験の問題を解いているのか」ということについて、その仕組みを説明し、後半には、「どのようにしてAIと『差別化』を図るのか」ということを中心に講演をされていました。

 

 引用した著書にも書いてありますが、AIは「言葉の『意味』」が分かっているわけではありません。キーワード検索などを行い、正答であろう答えを導き出しているに過ぎません。しかし、すでにAIは、MARCHレベルの大学に合格するだけの力があります。では、なぜ、「『意味が分かる』はずの高校生が、『意味の分からない』AIに敗れるのか」。この疑問から新井先生は、「ほとんどの人が、文章の『意味』が分かっていない」ということに問題点を見出しました。

 

 「暗記重視、入試対策で『意味』を理解せずに丸暗記し、自分では『意味』を何も考えない、という勉強法では、AIの勉強法と何ら変わらない。」と新井先生は述べていました。それではAIとの「差別化」ができず、AIに取って代わられる人材にしかなれません。つまり、現状の教育では、「子どもたちの幸せな将来」は保障できないのです。

 

 新井先生は、次のように断言しました。

 

AIがすごいのではありません。

AIは、意味も分からず、状況判断もできず、常識もなく、だいたいしか正答できない。

しかし、ほとんどの人が「このレベルでしかない」、というだけなのです。

 

 この言葉には、グサッときました。AIが「ほとんどの人と同じレベル」になったとき、労働効率の面ではAIには勝てません。なぜなら、AIは24時間働き続けることができるからです。

 

 では、どのようにすれば「AIと『差別化』」できるのか。新井先生は、「『読解力』で差がつく」と考えています。そのため、「丸つけは自分でやりなさい」、「板書は写メらず、自分で写しなさい」、「自分の頭で考え、まとめなさい」と生徒に向けて述べていました。このことは、私のテーマである「自分の頭で、自分で考え、自分で決める」ということと同意と考えます。生徒にこれまで求めてきましたが、間違いではなかったようです。

 

 また、どのようにして「読解力」を上げるか、ということに関して、数学や理科の定義文を「なるほどー!」となるように、毎日考えながら音読すること。また、世界史も例に上げ、教科書を音読して、「どうしてこうなったのだろう?」と疑問を持つこと、そして、それを「なるほどー!」となるようになるまでその理由を考えること、と述べていました。つまり、「意味」を理解することが大事だ、ということです。AIが「意味が分からない」のであれば、人間は「意味が分かる」ようにすることで「差別化」が図れます。そして、その鍵を握るのが「読解力」ということでした。

 

 

 私の授業では、「世界史の教科書を読み、『なぜそうなったのか』ということを説明できるようにする」ということをベースとして求めてきました。今日の講演を聞いて、ここまでの自分の求めてきたことが間違いではなかったことを知れて、非常に嬉しかったです。

 

 しかし、まだ「全員」ができるようになったわけではありません。まだまだやるなければいけないことはたくさんあります。今日の講演の内容を忘れず、明日からの実践に生かしていきたいと思います。

 

 最後に、新井先生が最後に述べていたことを記しておきます。

 

中学校を卒業するまでに、中学校の教科書を読めるようにすること。

高校を卒業するまでに、高校の教科書を読めるようにすること。

これが公教育の課題です。

そして、これができることで、皆さんの望む幸せに近づけると思います。 

 

 「子どもたちの将来の幸せ」を願っていることは同じです。教育に携わる者としてできること、『学び合い』実践者としてできることを、一つずつやっていきたいと思います。