共につくる『学び合い』

新潟の高校で世界史の『学び合い』に挑戦中!教員6年目。

授業アンケートまとめ  と 私の回答

 備忘録も兼ねて、授業アンケートの自由記述欄に書かれたことをまとめ、私の考えを書いていきたいと思います。

 

<肯定的な意見>

1.「分からないことがあったときに、すぐ周りの人に質問できるということが良いなと思いました。」

 

2.「最初アクティブ・ラーニングは苦手(大変)だったけど、今回テストの点も大幅に上がったし、みんなで話しながらやったおかげで、テストが終わっても内容をある程度覚えていたので、しっかり取り組めば良い結果が出せると思いました。」

 

3.「アクティブ・ラーニング方式だと授業中に沢山の人と関わって、色々な勉強の仕方があるのだと気づけました。それを取り入れた結果、テストで良い点が取れたのでこのまま続けたいです。」

 

4.「自分たちで調べたりするので、力がつくと思う。また、人に説明することで自分が本当に分かったのかが分かるので、良いと思う。」

 

5.「自分で調べて理解してナンボの教科でもあるので、この授業形式は自分に合っている。分からなければ質問して解説してもらえるのだから、『分からない』を十分に消せる。」

 

 

<授業について>

1.「質問したときに丁寧に答えてくれるので良い。」

A1.「『学び合い』の授業における教師は、理解するためのツールの一つであると考えている。そのため、質問に来た生徒 = 私の力を必要としている生徒、となる。私の力を貸すことができるようにしっかりと準備をし、万全のサポートができるように心掛けている。」

 

2.「皆で協力し合って学ぶことも大事だと思いますが、せめて授業の半分は説明にして欲しい。説明の後で分からないことがあったら聞きに行ったりした方が効率も良いし、疑問量も減ると思う。」

A2.「いわゆる “足して2で割る『学び合い』” が良いという意見。たしかにこちらの方が理解できる生徒もいると思う。しかし、これでも理解できない生徒がいるという視点が欠けている。この点を語りの中で伝えていきたい。」

 

3.「時間内に理解できなかった時に、理解できなかった私たちに丸投げして、そのあとの対策が何もないので困る。

A3.「時間内で分からなかった生徒に対するカバーをする時間はたくさんあるはず。ただ、それができる集団になっていないことに問題がある。語りでその点を伝えていく必要がある。また、個人的にできることとして、私のところに質問しに来るなどの対策もできることを伝える。」

 

4.「世界史の裏話などをもっと聞きたい。」

A4.「正直なところ、私ももっと話したい気持ちはある。しかし、裏話=全員にとって必要な話ではない。ただ、こうした生徒のニーズも満たす方法を考える必要がある。」

 

5.「自分で調べて書くので、漢字などを間違ったまま覚えてしまっているものがあった。授業の最後に黒板を使って答え合わせをしてほしい。」

A5.「黒板には答えも掲示してあるし、授業中に多様な人と確認し合えば良いと思う。チェックする時間はたくさんあるのではないかと思う。」

 

6.「私は授業中で理解できたことはほぼないです。結局テスト前に詰め込んでいます。」

A6.「このような生徒もいることを把握することが大切になると思うので、改善策を考えていきたい。」

 

7.「授業に完全に逆らった方が理解できると思った。大学のためにみんなに授業させるのは分かったけど、現実的に大学に入れる方が先。このやり方では無理。」

8.「(7と同一生徒)先生によって教えることに差が出るから、一人の先生のクラスでは解けているに、もう一人の先生のクラスではできないのは普通におかしい。というより問題である。」

7・8.「この生徒は、『学び合い』に大反対している生徒で、授業中も徹底的に他者との関わりを避けている。日常生活ではクラス内で友人もいるようなのだが、世界史の授業でのみ反抗的な態度をとるようである。7に関しては、現行のテストにおける授業中の課題の乖離が問題であると指摘している。また、8に関しては、同一科目を担当する教員間の連携が取れていないことを指摘している。確かに私の問題点の核心をついている。改善に向けて行動していくことが必要になるだろう。いずれにしても、『テストを先に作り、そこから課題を作る』ということができれば改善できるのだと思う。次回のテストは事前にテストを作成し、他の教員と共有して課題を作りたいと思う。」

 

9.「日本史は講義形式だが、先生の話を聞くと先生が言ったことをよく覚えていて、テスト勉強のときにすんなり単語や内容が入ってくる。なので、世界史も普通の授業をやった方が良いと思う」

A9.「このような生徒も一定数いるようである。私もこの感覚があるのでよく分かる。しかし、これは歴史が得意な生徒における特殊能力であると考える。そもそも、このような生徒は『先生の話から自分の考えへ繋げる、まとめる』ということが自然とできているのではないかと思う。扱いの難しい意見であり、これに対する私自身の考えもまとまっていないのが現状である。」

 

10.「アクティブ・ラーニングは個人的にあまり好きではない。友だちに聞いても分からないところがあったり、人によって得る知識が違い、世界史が得意な人とそうではない人で不平等になると思う。」

A10.「アクティブ・ラーニングの利点を理解していない意見なような気がする。『多様性を認め、自分のペースで学習できる』のがアクティブ・ラーニングの利点ではないのか。しかし、この利点が伝わっていないことは事実であるので、改善したい。」

 

 

<課題について>

1.「プリントの空欄を増やして欲しい。記述ができる空欄が欲しい。」

A1.「プリントの空欄を増やすと個人作業の時間が増え、周りと関わる時間が減ると考えているため、意図的に減らしてある。今回のテストで一問一答の正答率が悪かったことと関係がありそうなので、この点は改良の余地あり。」

 

2.「プリントの説明が長すぎ・深すぎでよく分からない」

A2.「この辺りの扱いは、世界史で『学び合い』をする上で非常に難しい。『学び合い』のセオリーでは、学校で学ぶ知識は塾などで既習の生徒が3割ほどいることになっているが、高校世界史においてはこれが成り立たない。そのため、プリント内の補足説明で『知識を持った生徒を作る』ことを念頭に置いている。これを読み解くことができない生徒は、分かる生徒から説明をしてもらえば解決できると思うが、そこまで集団が成長していないということの現れだろう。また、プリント内の補足説明は『私が授業内で説明する内容』なので、これを私からの話だけで理解することは不可能に近いとも考える。」

 

3.「授業プリントの説明内容は、簡単で、なおかつ分かりやすいものがいい。文が多すぎて頭に入らないのと、自分は難しい言葉が苦手だから、簡単な言葉を使ってほしい。」

A3.「教科書レベルの文章を使用しているつもりだが、ある生徒には難しいようである。ただ、教科書レベルの文章であれば、本校の生徒には読み解けるようになってほしい。今後は挫折しないような声かけやコーチングが必要になるだろう。」

 

 

<私について>

1.「アクティブ・ラーニングはいいと思うが、もう少しほっといてほしい。」

A1.「この点を改善するためには、私が生徒を信頼し、立ち位置を再考することが必要。」

 

2.「生徒のことを先生自身が見捨てている気もします。」

A2.「これはけっこう傷つく意見の一つでした。大局的観点から考えれば、全員に適する形にするには『任せる』という選択になると思うのだが、中には『先生に見捨てられた』と感じる生徒もいるということか。このような生徒もカバーできる集団づくりを目指したい。」

 

3.「声かけが少し大きいような気がする。会話が途切れてしまう。」

A3.「これも私が気を付けなくてはならない点である。常に意識し、改善したい。」






授業アンケートまとめは以上です。良い意見も、悪い意見も全て出しました。まだまだ課題が山積みですね。


『学び合い』は教師が何もしていない、とよく言われますが、これ以外のことにも対処しなくてはいけない。何もしていないなんてあり得ないと思います。見えないところで頑張るしかないのでしょう。1つずつ、焦らずに頑張ります。